保育士資格を活かせる仕事&就職先は?

児童福祉施設

保育士といえば、保育園の先生をイメージする人が多いのではないでしょうか?

ですが、保育士資格を活かして働ける場所は保育園だけではありません。

ほかにも、児童福祉施設から民間企業まで含めれば、その数なんと「20種類」以上にのぼります。

そこで当ページでは、保育士が働ける施設や職場についてくわしく紹介していきます。

  • 保育士の経験を活かして、なにか新しいチャレンジができないかな?
  • 資格は取ったけれど、保育園や幼稚園以外の職場で働いてみたいな…。

そんな方は、ぜひ参考にしてみてください。

児童福祉施設

児童福祉施設の子ども
保育士が保育園以外で働ける施設には、どんなところがあるの?
まず「児童福祉施設」で働けるぞ。乳児院や児童養護施設などで、たくさんの保育士が活躍しておる。
へ〜、そうなんだ。保育園とは一体どこが違うの?
子供たちの年齢層が大きく違うな。乳児院をのぞけば、18歳または20歳未満の子まで利用しておるんじゃ。
なるほど。保育士というと、小さい子どもを相手にするイメージがあるけれど、小学生や中高生とも上手に触れ合っていくことが大切になるわね。
その通りじゃ。ほかにも違いはあるぞい。たいていの児童福祉施設は、そこにいる子供にとって「暮らす家」なんじゃ。そのため、職員も交代で、子供たちと一緒に寝泊まりすることもあるんじゃよ。
そっか!子供たちの生活全般を支えていく仕事なのね。もっとくわしく児童福祉施設について知りたいな。
了解じゃ。それぞれの施設の特徴を一緒にみていこう!

乳児院

家庭で育てることが難しい「2歳以下の子供」たちが入所する施設です。

入所の背景には、両親の死亡や病気、離婚、貧困、シングルマザーなど、さまざまな事情があります。また最近では、子育て放棄や虐待による入所も増えています。

ここでの保育士の仕事は、親代わりになって、乳児の世話をすること。24時間ケアするためには、シフトを組んで、泊まり込みの夜勤や休日出勤することもあります。

施設では保育士以外にも、医師や看護師、栄養士、調理スタッフ、児童相談員、臨床心理士などが一緒に働いています。

それぞれ役割は異なりますが、全てのスタッフに共通していえるのは、家庭的な雰囲気を大切にすること。

そのため、養育担当制を取り入れる施設も増えてきました。これは子どもに対して、特定のスタッフが養育係になり入所から退所までの間、食事やお風呂、寝かしつけの世話をするシステムです。

こうすることで、子どもが担当保育士を頼り、甘え、心を開いてくれるようになります。

また休日には、子どもと散歩に出かけたり、自宅に連れていき一晩いっしょに過ごしたりすることもあります。

まるで、我が子のような存在といえるでしょう。

ただし、どんなに長く入所する子どもでも、2年後にはかならず別れの時期がやってきます。子どもを育てられずにいた生みの親が迎えにくる場合もあれば、里親になりたい人が現れる場合もあります。

乳児院で育った子ども達が、健全な家庭に引き取られていくことは、保育士にとって最も幸せなことです。

ただ、ほんの少し寂しいことでもあるのです。

児童養護施設

乳児院と同じく、施設で寝起きをする生活型じゃ。学齢期の子ども達は、施設から学校にも通っておるぞ。

家庭での養育を受けられない、乳児以外の「2〜18歳まで」の子どもが入所する施設です。

入所理由の多くは、親の死亡や病気、離婚や児童虐待など、複雑な家庭問題が関係しています。

施設では保育士以外にも、医師や臨床心理士、児童指導員、栄養士、調理スタッフ等が一緒に働いています。

ここでの保育士の役割は、子ども達の親代わりになること。衣食住の世話をはじめ、学校の勉強を教えたり、人間関係や進路の相談に乗ったり、さまざまな面から子ども達を支えます。

また、ときには保護者の心のケアに関わるなど、ソーシャルワーク的な役割が求められるケースもあります。

施設で生活する子も、一般家庭で生活する子も、基本的には変わりません。

しかし、子どもが親もとを離れて生活するということは、それだけで大きな不安を感じるもの。そのうえ、虐待を受けて親からの愛情を知らない子だっています。

「なぜ、わたしには親がいないの?」「わたしを守ってくれる大人はいないの?」など、一度心に刻まれたキズやトラウマは簡単には消えません。

不安の裏返しで、ときに甘えてみたり、逆に反発してみたり、大人を試すような行動を取ることもあるでしょう。

保育士は、そうした子ども達に対して、これまで築くことができなかった大人との信頼関係を、今後しっかりと築いていけるように導くことが求められます。

責任が重いぶん、大きなやりがいを得られる仕事ともいえます。

知的障害児施設

知的な面で障害や発達の遅れがある子どもが入所する生活型施設です。

知的障害のある子どもが、自立した生活を送るために必要な知識、技能を身につける施設です。

通常18歳までが対象ですが、重度の障害がある場合には20歳を越えても在所することができます。

ここでの保育士の役割は、子ども達に生活指導や職業訓練をおこなうこと。さらに、日常生活のお世話や相談、家庭や関係機関との連携をサポートします。

施設では、保育士以外にも、児童指導員や栄養士、調理スタッフなどが一緒に働いています。

知的障害児通園施設

知的障害のある子どもを預かる点では「知的障害児施設」と同じじゃ。ただし、子どもが保護者のもとから通園してくる点が異なるぞい。

知的障害のある子どもが日々通い、自立した生活を送るために必要な知識、技能を身につける施設です。

利用者の多くは、家庭で養育できる「中度」の障害児になります。また、学校に通える年齢に達すると養護学校に通うため、大半が就学前の小さな子どもです。

自閉症児施設

自閉症の子どもを預かり、生活指導や職業訓練をおこなう施設です。

自閉症児とは、脳の機能障害が原因で反応欠如や言語障害など、軽度の情緒障害をもつ子どものことです。

対応には、医学的な知識や専門的な知識が欠かせません。そのため、保育士以外にも、医師や看護師、児童指導員などが施設に常駐しています。

施設には、病院で治療する必要がある子どもが入所する「医療型の施設」(第一種自閉症児施設)、病院に入院する必要がない子どもが入所する「福祉型の施設」(第二種自閉症児施設)の2タイプがあります。

肢体不自由児施設

手足や身体に障害のある子どもを治療して、社会生活が送れるように支援する施設じゃ。

施設には、入所タイプと通所タイプがあり、医学的な治療やリハビリテーションを中心におこないます。

そのため、施設には医師や看護師、薬剤師、栄養士、さらにリハビリのプロである作業療法士理学療法士など、病院でお馴染みのメンバーが揃っています。

ここでの保育士の役割は、児童指導員と協力して、子ども達の生活指導をすること。医療スタッフとの連携も不可欠で、保育士にも療育(障害のある子どもが、社会的に自立できるように取り組む治療や教育)に関する基本的な知識が求められます。

施設の対象年齢は、幼児から20歳まで。ただし、重度の障害がある場合は、その後も継続して入所できます。

重症心身障害児施設

児童福祉施設のなかでも、もっとも重い障害を持つ子どもが入所しています。

重度の知的障害と肢体不自由の両方を持つ子どもを対象に、治療と日常生活のサポートをおこなう施設です。

障害が重く、常に治療や医学的配慮が必要になるため、医師や看護師、薬剤師、栄養士、リハビリスタッフ(理学療法士や作業療法士)などが一緒に働いています。

ここでの保育士の仕事は、子どもの食事や排泄のお世話をすること。また、医療スタッフと連携して心理指導をおこなったり、子どもを連れて散歩に出かけたりすることもあります。

施設では、ベッドで生活の大半を過ごす子どもが珍しくありません。できるだけ、外に出る機会を増やすなどの工夫が求められます。

盲ろうあ児施設

目が見えない子や、耳が聞こえない子、もしくはそれに近い弱視や難聴の子が暮らしているんじゃ。

もう児(目の見えない子ども)、ろうあ児(耳の聞こえない子ども)が自立した生活を送るために必要な知識、技能を身につける施設です。

ほかの施設に比べると、視覚設備(または聴覚設備)が充実しているのが特徴。幼児から20歳までが入所していて、学校に通える年齢になると、施設から盲学校やろう学校に通います。

ここでの保育士の役割は、子ども達の様子に気を配りながら、生活面や職業面の指導をすること。ほかにも、児童指導員や栄養士、調理スタッフ等が一緒に働いています。

施設で働くためには、点字が読めて、子どもに教えられるスキルが不可欠です。

情緒障害児短期治療施設

軽度の情緒障害をもつ子どもの治療を目的とした施設です。

情緒不安定になった子ども達に対して、短期間入所または通所させて、心理療法を含む生活指導をおこないます。

情緒障害を明確に定義することは難しいですが、たとえば、不登校や盗み、乱暴、拒食などの問題行動がある子ども達が入所しています。いわば「心にさまざまな問題を抱え、心理的な援助を必要としている子ども」といえます。

施設では、子ども達の内面の不安や悩みを解きほぐすための心理療法士や児童精神科医、看護師等とチームを組み、保育士にも心理療法的なアプローチが求められます。

児童自立支援施設

不良行為をした、あるいは不良行為をする恐れのある子どもに対して、立ち直りを支援する施設じゃ。

子どもが非行に走る原因として、親の過保護や溺愛、放任、拒否などがあげられます。

さらに、望ましくない家庭環境で育ったがゆえに、心理的葛藤や欲求不満、劣等感を抱えている子もいます。

そのような子ども達に対して、生活指導はもちろん、勉強を教えたり、進路相談に乗ったり、さまざまな面から自立を支援していきます。

また、心理判定員による「心理検査」、精神科医の指導による「個別面接」といった心理的アプローチをおこなうこともあります。

勤務しているのは、児童生活支援員、児童自立支援専門員、嘱託医など。児童生活支援員は、かつて「教母」と呼ばれ、保育士資格を持つ人、社会福祉士資格を持つ人、児童自立支援事業に3年以上従事した経験のある人が就くことができます。

母子生活支援施設

母子家庭の親子を施設に迎えいれ、自立を支援する施設です。かつては、母子寮と呼ばれていました。

配偶者のいない母と、その子どもが一緒に入所しています。

たとえば、父親との離婚や死別により、経済的に苦しんでいる親子や、若いシングルマザーで、1人で子育てするのは心もとない親子などです。

最近では、夫のDVから逃れるために利用するケースも増えています。

施設では、母子指導員や嘱託医、子どもを指導する職員、調理スタッフなどを配置しなければいけない決まりになっています。

そして、母子指導員として働く資格のひとつとして、保育士資格があります。

母子指導員の役割は、その家族が自立できるようにサポートすること。たとえば、母親が外で働いている間は子ども達の世話をしたり、学校の宿題を見てあげたり、一緒に遊んであげたりもします。

また母親に対しても、就労支援、生活の援助、育児指導、家族関係の調整にあたるなど、その仕事は多岐にわたります。

さらに、近所に保育園がなかったり、あっても利用できなかったりする場合、施設に入所する乳幼児の保育園としても機能しています。

児童厚生施設

一般的には「児童館」「学童クラブ」「放課後クラブ」と呼ばれておるんじゃ。

地域の子ども達がのびやかに過ごせるよう、生活と遊びの場を提供する施設です。

「児童館」「児童遊園」の名称で全国に5,000ヶ所ほどあり、小学校の授業を終えた子ども達が元気に遊んでいます。

児童館には、広場や遊戯室、図書館、パソコンルームなどがあり、遊びやスポーツに利用できます。児童遊園には、ブランコなどの遊具やトイレ、水飲み場が設置されており、屋外遊びの場として機能しています。

どちらの施設にも「児童厚生員」と呼ばれるスタッフがいて、その職に就ける資格のひとつに保育士資格があげられます。

施設では、ほかにも母親クラブや子ども会活動などがおこなわれます。そこで働く児童厚生員は、地域の子育て活動のサポート役としても活躍しているのです。

児童家庭支援センター

子供やその親、周りにいる人からの相談に乗って、アドバイスをする施設です。

児童家庭支援センターは、乳児院や児童養護施設に設置されています。

子育てに関するさまざまな相談に乗り、地域内の児童相談所や児童福祉施設との連絡調整をおこないます。

いわば、家庭と児童福祉施設の「つなぎ役」。現場をよく知る保育士だからこそ、務まる仕事といえるでしょう。

民間のサービス

寝ている赤ちゃん
どうじゃ?児童福祉施設で活躍する保育士についてよく理解できたかな?
うん!保育士の資格を持っていると、たくさんの職場で働くことができるんだね。
そうなんじゃ。ほかにも、職場ではなく「職種」と考えると、さらに幅は広がるぞい。たとえば、ベビーシッターや保育ママ、企業内の託児所で働く道なんかもあるんじゃ。
すごい!いろんな職種にチャレンジできるんだね。もっとくわしく知りたいな。
了解じゃ。ここからは、民間のサービスを中心にみていこう!

ベビーシッター

ベビーシッターは、仕事や急用で保護者が自宅を留守にする際、一時的に子どもの世話をします。

資格があれば、正社員をはじめ、派遣やアルバイトなど幅広い働き方ができるのが魅力です。また最近では、自宅の一部を利用して独立する人も増えています。

資格は「公益社団法人 全国保育サービス協会」が実施する研修を受講し、試験に合格すれば取得できます。

企業内の託児所

人気の働き先です♪とくに一度現場を離れた保育士が、再就職先として働くケースが多くみられます。

女性が多く働く企業や病院で、社員の福利厚生のために開設している託児所です。

その企業の社員のみが利用できる施設で、勤務体制に合わせた形で保育サービスを展開しています。

また最近では、子供向け商品をつくる会社で、保育士の視点が必要とされるケースなどもあり、さまざまな職場で活躍する保育士が増えてきました。

ベビーホテル

夜間に働いている親が、仕事のあいだ子どもを預ける施設じゃ。

20時以降の保育、宿泊をともなう保育、一時預かり、いずれかのサービスを提供します。

24時間運営している施設も多く、ビルなどの一階に設置されています。

また、ベビーホテル以外にも、劇場や美術館、デパート、スポーツクラブなどに併設されている「一時預かり所」で働く保育士も増えています。

保育ママ

保育園の少ない地域、乳児保育のニーズが高い地域で活躍しています。正式名称は「家庭的保育者」「家庭福祉員」。市区町村がおこなう公的保育事業のひとつです。

自宅の一部を保育園代わりにして、産休明け〜3歳までの子どもを預かります。

家庭的な雰囲気のなか、少人数制の保育をおこなえるのがメリットです。

保育ママになれるのは、保育士または看護師資格を持っている人。また、自宅に6畳程度の保育専用の部屋があり、毎日9時間以上の保育時間を確保できる人に限られます。

さらに自宅に庭があるか、もしくは付近に公園、空き地、神社境内などの開かれた空間があることが条件です。

上記をすべて満たし、市区町村に申し込んで認定を受けると、子どもを預けたい保護者とマッチングしてもらえます。

ただし保育ママは、自治体が運営する保育機関のひとつ。勝手にサービスを追加したり、広告を出して集客したりすることはできません。

現在、保育ママとして活躍しているのは、保育士や看護師資格を持ち、自らの子育てを終えた主婦が大半になります。

まとめ

いかがでしたか?

一般的に「保育士=保育園」というイメージが強いですが、保育士資格があれば様々な施設で活躍できることがご理解いただけたと思います。

そして、今後さらに多様な現場で保育士は求められていくでしょう。

当然ですが、子どもは1人で成長していくことができません。かならず大人の支えが必要であり、それを中心となって支えていくのが保育士の役割です。

すべての子ども達が幸せな幼少期を過ごせるよう、日々愛情を持って仕事に取り組んでいきましょう。