「給料が安すぎる…。」
と言われることも多い保育士ですが、実際にどれくらい貰っているのでしょうか?
やりがいのある仕事に就くことは大切ですが、長く働くためには、収入についてもよく理解しておかなければなりません。
そこで当記事では、保育士の給料の実態について徹底的に解説していきます。
それでは、一緒にみていきましょう!
保育士の初任給はいくら?
公立の場合

公立の施設で働く場合、地方公務員として採用されます。したがって、給料も公務員の給与体系に沿って支払われます。
地域差はありますが、新人の基本給(手取り)はおよそ以下のとおりです。
・短大卒や専門学校卒の保育士:16万前後
・大卒の保育士:18万前後
このほかに、通勤手当や住宅手当、扶養手当、都市部であれば調整手当がつきます。これら手当で2〜5万円プラスされ、そこから社会保険料や税金が引かれます。
なので、実際にもらえる1ヶ月の給料は18〜20万円ほど。初任給としては、決して高くはないけれど、安くもない金額でしょう。
私立の場合

ただし、全体の給与条件としては、やや劣ってしまう面もあります。
たとえば、基本給にプラスされる「手当」については、公立ほど充実している園は少ないです。また、昇給について明確に定められていない施設も多く、長く勤めても給料がなかなか上がらないケースも…。
給与額は、自治体の補助金の有無によっても差がでます。気になる人は事前に確認しておくとよいでしょう。
保育士の平均給料はいくら?
全年齢の平均年収

・平均年収:327万円
・平均月収:223,300円
・平均ボーナス:588,200円
・平均年齢:36歳
・勤続年数:7.7年
参照:厚生労働省「平成28年 賃金構造基本統計調査」
「年収327万って、意外に悪くないかも…。」と思いませんでしたか?
ただし上記の金額は、あくまで全年齢の平均値。つまり、新人からベテランまで、全ての保育士を含めた年収になります。
より正確な金額を知るために、さらに細かくみていきましょう。
年齢別の平均年収


20〜24歳
・平均年収:268万円
・平均月収:194,200円
・平均ボーナス:348,900円
・平均年齢:22.7歳
・勤続年数:1.8年
25〜29歳
・平均年収:311万円
・平均月収:211,000円
・平均ボーナス:581,300円
・平均年齢:27.4歳
・勤続年数:4.8年
30〜34歳
・平均年収:327万円
・平均月収:223,200円
・平均ボーナス:591,700円
・平均年齢:32.2歳
・勤続年数:7.2年
35~39歳
・平均年収:334万円
・平均月収:223,300円
・平均ボーナス:657,500円
・平均年齢:37.8歳
・勤続年数:8.8年
40〜44歳
・平均年収:366万円
・平均月収:243,200円
・平均ボーナス:745,500円
・平均年齢:42.3歳
・勤続年数:11.7年
45~49歳
・平均年収:348万円
・平均月収:233,800円
・平均ボーナス:677,700円
・平均年齢:47.5歳
・勤続年数:11.1年
50~54歳
・平均年収:351万円
・平均月収:237,300円
・平均ボーナス:664,800円
・平均年齢:52.6歳
・勤続年数:11.9年
55~59歳
・平均年収:381万円
・平均月収:256,500円
・平均ボーナス:731,500円
・平均年齢:57.3歳
・勤続年数:15.8年
60~64歳
・平均年収:356万円
・平均月収:241,900円
・平均ボーナス:653,600円
・平均年齢:61.7歳
・勤続年数:18.0年
65~69歳
・平均年収:454万円
・平均月収:297,800円
・平均ボーナス:970,300円
・平均年齢:66.9歳
・勤続年数:22.5年
70歳~
・平均年収:460万円
・平均月収:310,700円
・平均ボーナス:871,800円
・平均年齢:73.5歳
・勤続年数:33.7年
グラフにすると…


年齢別でみてみると、20代前半では300万に届きません…。
それに比べて、65歳以上の年収がグッと平均を引き上げていることがわかります。これは「経験年数の多い保育士だから…」というわけではなく、園の経営者の給料が高くなっているだけ。
そう考えると、保育士の平均年収が300万を超えるといっても、まだまだ十分な数字とはいえないのが現状です。
地域別の平均年収



例)
東京で25〜29歳の場合:年収×パーシェ指数(121.5/100)
311万円×1.215=3,778,650円
宮崎で25〜29歳の場合:年収×パーシェ指数(80/100)
311万円×0.8=2,488,000円
上記の金額が、より現実的な年収額になります。
あくまで目安ですが、働く場所によって100万円以上も差が出ることがわかります。なので年収を調べる際は、必ず地域格差も考慮に入れたうえで計算するようにしましょう。
過去10年間の平均年収の推移






公立と私立、給料の差はどれくらい?
常勤のケース



公立でも私立でも、就職してから数年間はそこまで大きな差がありません。
しかし中長期的なスパンでみると、私立はボーナスや昇給で伸び悩む傾向があります。
公立の場合、地方公務員として給料がもらえるので、民間企業と比べてもほとんど差がありません。待遇にも恵まれており、それなりに安定しているのが魅力です。
一方、私立の場合、各保育園が独自に給与体系を決めているため、働く施設によってボーナスや手当に差が出てきます。
もちろん、私立のなかにも環境の整った施設はたくさんあります。しかし、残念ながら「ブラック企業」のようなところも、少なからず存在しているのが現状…。
とくに認可外保育園の給与額は、認可保育園よりも低いケースが多いです。なかには「低賃金」や「サービス残業」といった環境に耐えきれず、辞めてしまう人も少なくありません。
求人を探す際は、給与だけでなく、福利厚生などの待遇面もしっかり確認したうえで検討するとよいでしょう。
かならずしも「認可外保育園で働くのは良くない!」という意味ではありません。待機児童の問題を解消すべく、認可外保育園を運営している経営者もいます。給与はけっして高くないけれど、利用者からとても感謝され、やりがいを感じられる職場はたくさん存在します。
非常勤のケース

規制緩和により、非常勤ではたらく保育士も増えています。
いわゆる、契約社員・アルバイト・パートのような一定期間はたらく職員です。
通常、非常勤スタッフの場合、正職員とチームを組んで保育にあたります。補助とはいえ、子どもや保護者からみれば「同じ先生」。責任ある立場に変わりありません。
勤務形態はさまざまで、障害児童のための加配人員、0〜2歳児クラスの専任、病欠・産休・育休の代替え、担任を持たないフリー保育士として働きます。
資格別の平均年収

他業種と比べて、保育士は「給料が低めの業種」であることが分かります。
また、私立の保育園に就職した場合、勤務年数に応じてグングンと昇給していくことも、よほど待遇の良い職場でないかぎり厳しいのが現実です。
ただし、保育士の仕事は景気に左右されにくく、多くの施設で毎年ボーナスが支給されています。そういった面では、毎月の給料は低いものの、安定した職業といえるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、保育士の給与面について解説しました。
記事の内容をまとめると、以下のとおり。
- 保育士の平均年収は327万円
- 20代前半では300万円を下回る…
- 地域によって年収に差がでる
- 長く勤めるなら「公立」が有利
- 他業種と比べて給料は低め
仕事はお金が全てではないので、単純に「給料が高い=良い職場」という訳ではありません。
ただし、心に余裕があってこそ、より良い保育ができるのも事実。
これから保育士を目指す人は、自分にとって「譲れないポイントは何なのか?」をよく考え、じっくりと職場探しに取り組んでみてはいかがでしょうか。