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保育園と幼稚園を徹底比較!
比較表

相違点①管轄する役所の違い
まず、保育園と幼稚園では管轄する役所が違います。
保育園の正式名称は「保育所」、管轄は厚生労働省。一方、幼稚園は文部科学省です。
したがって、保育園は「児童福祉」の考え方をキホンとし、幼稚園は「学校教育」の考え方をキホンとして運営されています。
◎保育園の特徴
保育園の対象は、小学校に入学前の乳幼児(0〜6歳)。「両親が共働き」「出産の前後」「祖父母の介護」「災害」などの理由で、親が子どもの面倒を十分に見ることができない場合のみ、預かります。
保護者が迎えにくるまで、8時間以上の長時間保育になることも珍しくありません。
そのため、保育園では「お昼寝」や「おやつ」の時間を設けて、子どもの心身に負担がかからないよう、なるべく家庭にいるような状態で過ごせるよう配慮しています。
◎幼稚園の特徴
一方、幼稚園は小・中学校とおなじ「学校教育法」によって定められた、教育を重視する施設。
満3歳〜小学校入学前の児童を対象とし、1日4時間、年間39週以上の教育をおこないます。
ここでいう教育とは、「お絵かき」や「お遊戯」などをクラス全員に一斉指導することではありません。幼稚園教諭には、子どもが主体的に活動できるよう、一人ひとりを理解し、計画的に指導する力が求められます。
ただし幼稚園は、小・中学校のような義務教育ではないので、子どもを通わせるかどうかは「親」しだい。
保護者のニーズにこたえるために、
・英語を教える
・音楽教育に力を入れる
・どろんこ、はだし教育
・欧米で主流の教育法を導入
といった独自の教育方針を打ち出す私立園も数多くあります。
そのため、幼稚園教諭が現場でどのような幼児教育を展開するかは、働く園によっても異なるのです。
まとめると、保育園が”保育に欠ける乳幼児”をそだてる「生活の場」であるのに対し、幼稚園は「学び」を重視した教育をおこなう施設になります。
とはいえ、保育園・幼稚園ともに、幼児の「心身の発達」「人間形成」の土台をつくる場であることに変わりはありません。
相違点②保育時間の違い
(厚生労働省 社会福祉施設等調査結果の概況より)


保育園と幼稚園では、開園時間も違います。
保育園の保育時間は、8時〜16時までの「8時間」が基本。最近では、共働きの家庭が増えて、7時〜19時ごろまで「延長保育」や「夜間保育」をおこなう施設もたくさんあります。
一方、幼稚園では9時〜14時までの「4時間」が基本。保育園の約半分です。
ただし、最近は忙しい親も多く、幼稚園でも「預かり保育」を実施しているところがあります。おかげで共働きや母子・父子家庭の子どもが、18時ごろまで保育を受けられるようになりました。
相違点③給食or弁当の違い
保育園では、基本的に給食をたべます。施設によっては、定期的に「お弁当の日」をつくっているところもありますが、通常は給食です。
一方、幼稚園ではそれぞれの園の方針によるものの、基本は「お弁当」。一部では、保護者のニーズに合わせて給食を出しているところもあるようです。
とはいえ、給食をつくる設備をもった幼稚園はまだまだ少なく、大半は園児用のお弁当をつくる業者に依頼しているのが現状です。
相違点④入所のしくみの違い

保育園・幼稚園・認定子ども園を利用する場合、事前に行政から「支給認定」を受けなければいけません。
支給認定には、子どもの年齢や保育の必要性に応じて「1号認定・2号認定・3号認定」の3つの区分があります。認定区分によって、利用できる施設や時間が異なります。
・1号認定…「学校教育」のみ必要とする、満3歳~小学校入学前の子ども
・2号認定…「保育」を必要とする、満3歳〜小学校入学前の子ども
・3号認定…「保育」を必要とする、満3歳未満の子ども


◎保育園の入園を希望する場合
保育園を利用するには、「2号・3号認定」を受けなければいけません。認定を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
□ 就労(月64 時間以上)
□ 妊娠、出産
□ 保護者の病気、ケガ
□ 親族の介護
□ 災害復旧
□ 求職活動
□ 就学
つまり「保護者が家庭で子どもを保育できない状態」でないかぎり、保育園に通わせることはできないのです。認定を受けた人のみ、役所で申し込み、希望する園をつたえて決定を待ちます。
どの保育園に子どもを入れたいか、保護者は自由に選ぶことができますが、保育園の空き状況などによって、ある程度の優先順位がもうけられているのが実情です。
◎幼稚園・認定こども園の入園を希望する場合
幼稚園・認定こども園を利用するには、該当する「認定証」をもって、直接希望する園に申し込みます。
相違点⑤保育料の違い
保育園の利用料は「保育料」、幼稚園の利用料は「月謝」とよばれます。
保育料の場合、「保護者の収入」「子どもの人数」「子どもの年齢」によって変わります。
年収が高ければ、そのぶん保育料も上がる仕組みです。また兄弟で入園している場合、2人目は半額、3人目は無料になるケースもあります。
自治体によって制度が異なるので、くわしく知りたい方は役所に確認してみるとよいでしょう。
一方、幼稚園の月謝は「公立」と「私立」でまったく違います。
文部科学省の全国平均データ(平成24年度)を調べてみると、
・公立幼稚園の年間費用:149,544円(ひと月あたり12,462円)
・私立幼稚園の年間費用:367,355円(ひと月あたり30,613円)
なんと、2倍以上の差があることがわかります。ちなみに保育園(認可)であれば、公立・私立にかかわらず保険料は一律になります。
まとめ
いかがでしたか。
保育園と幼稚園では、さまざまな違いがあることをご理解いただけたでしょうか?
しかし一方で、これまで機能が異なるとされてきた両者ですが、最近は「1つの建物に保育園と幼稚園を併設する」という幼保一元化の取り組みが活発化してきました。
こうした変化は、保育士(または幼稚園教諭)の勤務先や働き方、資格のあり方にも大きな影響を及ぼしています。
幼保一元化については、こちらの記事でくわしく解説しています。あわせて参考にしてみてください。